家族葬における会社への連絡マナー

一般葬の場合であれば故人や遺族の会社の関係者が大勢弔問に訪れる姿も見かけますが、家族葬を行う場合にはごく限られた方の小規模で執り行います。その様な家族葬を執り行うと決まった場合、会社への連絡はどうすれば良いのでしょうか。

家族葬とは、先にも簡潔にお伝えした通り、家族や親族・ごく親しい友人等を招き行う小規模の葬儀のことを指し、一般葬とは違い事前に参列者の人数を決められます。そもそも家族葬において会社への報告は必要なのでしょうか。ケース別にして考えると故人が会社員の場合・故人が会社員の家族の場合に分けられます。まず、故人が会社員の場合には必ず会社に伝える必要があります。会社に亡くなった旨を伝える際には、家族葬であることが上手く会社に伝わっていないと職場の方や取引先の方が弔問に訪れ混乱をきたす恐れがありますから「葬儀が家族葬である」ことも必ず併せて伝えておきましょう。次に故人が会社員の家族の場合ですが、会社員の家族が亡くなった場合でも家族葬を行うという旨を会社に伝えておくのが得策でしょう。家族葬を行う場合には会社の方を呼ばないから会社への報告は必要ないのでは、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが家族の葬儀を行う場合には会社の規定によっては有給休暇とは別に「忌引休暇」を取得することが可能な場合がありますし、会社によっては福利厚生の一環として弔慰金を支給される場合もあります。また、仕事上の引き継ぎなどもあるでしょうから最低限、上司には連絡しておくのが好ましいと言えるでしょう。

家族葬であっても会社への連絡はしておくべきだという事を先にお伝えしましたが、連絡手段はどのような形が良いのかなど注意点を含めお伝えしていきます。まずは連絡手段についてですが、会社にいる時に家族の訃報を受けた場合にはその場で上司の方に口頭にて伝えると良いでしょう。会社外にいる時には、まず上司の方に電話にて報告しておくのが良いでしょう。ここで注意が必要になってくるのが、家族葬では伝えるべき内容がいくつかありますから、電話や口頭のみであると伝え漏れの可能性が出てきます。また、報告を受けた側も細かい内容を忘れてしまう恐れもありますから、その様なアクシデントを防ぐためにも後で見返せるようにメールやLINEなど、普段使用しているメッセージツールを使用し文章としても送っておくとより確実で安心です。家族葬の連絡を会社に入れる際には、まず上司の方に電話か口頭でとお伝えしましたが、メールの場合も同様に上司の方へ送ります。また、忌引き休暇や弔慰金に関するやりとりもありますから、必要であれば総務課にもメールを送っておくと良いでしょう。数日間会社を休む場合には取引先へ連絡を入れなければいけない場合もあります。自身が担当している取引先がある場合は念頭に置いておきましょう。この際は独断で行うことはせず連絡の前に上司への確認が必須です。
次に葬儀を家族葬で行う場合に会社へ伝える際に最も重要な点は、弔問や弔電・供花・香典などについて会社側が対応を判断できるようにすることです。家族葬ではそれらを辞退するのが一般的ですから、その旨を明確に伝えておきましょう。電話や口頭で伝えた後、改めてメールを送って文面にしておくとより確実です。会社関係者の弔問を避けるために手続き上必要がある場合を除き、敢えて葬儀の日時や場所は伝えなくても良いでしょう。
メールで会社への報告をする際には、辞退する項目がある場合は「何を辞退するのか」を明確にしておきましょう。例えば「香典は辞退するが弔電や供花はお受けしたい」という場合には、その点を明確にし確実に記載しておくとよいでしょう。家族葬に関し、会社に伝えるべき点を下記にまとめましたので参考にして下さい。

〇故人の氏名・続柄・命日
〇家族葬の日時・場所
〇喪主の氏名・続柄
〇葬儀が家族葬である旨
〇参列・香典・弔電・供花に関して辞退するもの

辞退する項目が殆どである場合でも、会社の規定によっては式場の情報が必要なこともありますので事前に上司や総務の方と相談し、必要であれば式場の名称や住所や電話番号などの式場情報も合わせて記載しておくとよいでしょう。

家族が亡くなってから遺族として家族葬を取り仕切る際には事前準備ならびに葬儀後にもやるべきことが多くあります。出勤日と重なることにもなりますから、必然的に忌引き休暇を取得する必要が出てきます。実際の忌引き休暇の規定は会社によって様々ですから事前に社内規定をしっかりと確認し、上司と日数の調整を行う必要があります。忌引き休暇の日数は故人との関係性で決まることが多く、近い関係であるほどその期間は長くなります。一般的に配偶者の場合であれば十日程度、両親の場合であれば七日程度、兄弟姉妹や祖父母であれば三日程となります。
ご家族に不幸があった場合には、親戚などの関係各所への連絡のみならず、葬儀会社や菩提寺とのやりとりなどで遺族は大変多忙になります。忙しい中で連絡がつい後回しとなり誤って漏れてしまっていたということにもなりかねないですから、会社には可能な限り早めに連絡を取っておくと良いでしょう。不幸は時を選ばず突然にやってくるものですから、訃報を受けたタイミングが夜間や休日であった場合には上司の方への連絡を躊躇してしまう場合もあるかもしれません。しかし、その場合には電話ではなく取り急ぎメールなどで知らせておけば問題ありません。忌引き休暇の取得や不在期間中の社内での業務の調整等がありますから可能な限り早く知らせることの方が優先度は高くなりますので、訃報を受けた際にはまず可能な限り早めに上司の方への報告を行いましょう。忌引き休暇を取得する場合には代理の社員に業務の引継ぎを依頼する事も大切です。上司や同僚などにお願いするのが一般的です。可能であれば、出社して直接指示するのがミスも少なく望ましいのですが、葬儀の準備等で多忙な場合がほとんどなのでその場合には電話やメールでも問題ありません。どうしても自分が対応する必要が出た場合に備え、緊急連絡先を伝えておくき、即日対応できる可能性が低い旨をあらかじめ伝えておきましょう。社内の休暇申請などには、通常であれば定められた書類にて手続きを行います。ただし、忌引き休暇の申請は上司に報告しておけば書類提出は後日でも可能な場合がほとんどですが、社内規定により必要書類は様々ですから事前に上司や総務の担当者に確認して休暇明けに会社に戻った際に必要書類一式を提出しましょう。

お葬式の豆知識
家族葬におけるご近所への連絡マナー

家族葬ならではの悩みとして誰を呼ぶべきなのか・呼ばなかった方への訃報連絡を失礼のないように伝えるのはどうしたら良いのかと悩む方がいらしゃるのが実状です。不要なトラブルを避けるためには失礼のない振る舞い・気遣いが必要になります。

まず、初めに家族葬について簡潔にお伝えします。家族葬とは近親者やごく親しい間柄の方のみで葬儀を行い、後日改めて本葬などを行うことなく小さく完結する葬儀形態のことを指します。各家庭の事情に応じ柔軟に縮小させるのが主な特徴で、小規模な葬儀が全般的に家族葬と呼ばれる傾向にあります。
家族葬を行おうとしている場合ご近所の方への参列辞退は基本的に失礼にはあたりません。故人との親交がさほどない方であれば尚更で、その様な点も家族葬の利点のひとつともなっています。ですが葬儀以外の必要事項は伝えておくようにする必要はあります。故人が亡くなった旨に加えて近隣での生活や自治活動に参加できなくなる旨を知らせておくことは必須事項です。また、人や業者の出入りが予想される場合には予めその旨も伝えておくようにしましょう。葬儀の中での配慮は必要ありませんが、今後のご近所付き合いに影響を及ぼさない程度の事前通達は必要です。

家族葬を執り行う際に最も悩む点とされるのが、参列辞退をお願いする手段についてです。参列辞退のお願いの注意点やポイントを事前に抑えておけばトラブルなども事前に防げますので覚えておくと良いでしょう。
参列辞退お願いの手段として一番代表的かつ容易な方法が口頭や文章上となりますが、どちらでも共通して大切になるのが「家族葬が故人や遺族の意向によるもの」だという旨を伝えることです。その際に大人数の話し合いで決まったというような言い方では誤解を招く恐れがありますから、あくまでも家族葬では関係者が少なくなるという点を踏まえ「故人や遺族の意向によるもの」としましょう。はっきりと要望があってという旨を伝えることができれば相手も納得できますし、辞退する側も気をもまずに済みます。近隣の方への配慮として有効な方法は、自治体や町内会で代表を務めておられる方を通じてお知らせするのも良いでしょう。代表の方と連絡がつけられない場合にはなるべく相互に連絡がとれる余裕のある方を通して頼んでおくと良いでしょう。また、参加辞退の旨の他には香典をしっかり断っておくことも重要になります。参列を断った場合でも、せめてもの心遣いとして香典を準備して送ろうとする方は少なくありません。それらのお返しを含めた手間を省略できるのが家族葬ですから、連絡不足により誤解が生じると本末転倒なこととなってしまいかねません。ですから参列辞退の連絡の際には香典も辞退する旨を明確に伝えておきましょう。
基本的に葬儀においてはご遺族の事情が優先されるべきですが、心情的に参列が叶わないことを悔やまれる方やどうしても参列したいという方もいらっしゃいます。それらをただ断るだけにしてしまうと不信感を抱かれる場合もあり、後のご近所付き合いに支障をきたすという事に繋がりかねません。そういった心配が予想される方に対しては、後日改めて弔問ができる機会を伝える配慮をしておくと良いでしょう。事前に遺族側から対応可能な時間を伝えておくと相手の方も安心して適切な時期に弔問に臨むことができます。
なお家族葬を行うという事がご遺族間の相談で決まったとしてもそのまま伝えると怪訝に思われる場合がありますので、「故人の遺志により」としておくとトラブルを避けやすいでしょう。参列辞退を促す文章を書く際には、葬儀の日時と場所を記載しないのが意図を示しやすい方法となります。参列を願い出る文章と区別をつけておくと、混乱を招く可能性も減りますのでおすすめです。
また、連絡がうまくいき届かず予期せぬ参列者が訪れる場合も想定されます。各々の事情が異なり非常に判断の難しいところですが、このような事態になってしまった場合には家族葬であることを改めて伝え配慮して去っていただくか、最低限の参列を許可するかで見極めることとなります。式場で予定していた人数の都合もありますので、参列を受け入れるにしても限度があります。誤解させたことをお詫びしつつ正直に正式な案内はできないことという事を丁寧に伝え、手早く可能な対応を提示してどうされたいかを伺いましょう。相手の方にも悪意はなく純粋に参列したいという思いで来られる方が多いです。あまりにも無理にお断りすることは失礼にあたりますので特別な注意が必要となります。
葬儀が無事終わったら、近隣への事後報告・挨拶をくまなく行っておく必要があります。普通の葬儀であれば直接話さずとも外からある程度察することができる場合が多いのですが、家族葬は気づかれない場合も多いので相互確認が大切になります。

最後に、施主側ではなく家族葬の知らせを受け取った側の対応についてお伝えしていきます。遺族の方々は精神的な落ち込みがあるだけでなく、準備や対応などで葬儀前から大変慌ただしくしています。ですから通知を受けた際はなるべくその通知状の情報をもとに判断することとなります。判断材料となるポイントとしては、案内状である場合は日時と場所・葬儀社の連絡先などがしっかりと書かれますので、情報が不足している場合は辞退のお願いとみなしましょう。また、ご自身だけでの判断が難しい場合には相談できる方がいらっしゃる場合には、話をして検討してみるのも良いでしょう。家族葬の通知自体あまり多く出されるわけではありませんので、むやみやたらに聞きまわるのではなく自分を含め受け取った方と故人との間柄などを鑑みると判断しやすくなります。また、連絡自体がない場合は参列は必ず辞退しておきましょう。直接葬儀の場で弔えない無念さはありますがご遺族の意向や負担を考慮して大人しくしておくのがマナーといえます。参列できなかった場合には葬儀の形が違っても、お悔やみの挨拶をするのは同じですから、わざわざご遺族へ挨拶しに出向かう必要はありませんが、知らせを受け取ってから最初に面したときには相応に状況が考慮された挨拶が望ましいです。弔意に相手を慮る一言を添えるといいでしょう。家族葬は比較的閉じられた葬儀となりますが、その後一切の弔問を拒否するという意思表明ではありませんから、あらかじめ親族に連絡を入れご遺族の都合に合わせて弔問させて頂くという選択肢もあります。