エンディングノートについて

近年は終活という言葉と共にエンディングノートという言葉を耳にする機会が増えてきています。

エンディングノートは、一般的には終末を迎えるにあたり残された家族に対しご自身の考えや想いを伝える事を目的を主に記載される備忘録や回顧録といったような意味合いで使われています。エンディングノートにはルールや決まりは存在していませんので、ご自身の終末医療に対する考え方や財産の処理に対する希望などを記録するケースが多いようです。先にも述べましたが、エンディングノートは遺言書とは全く違う代物になりますので法的拘束力をもちません。
エンディングノートという名目で販売されているノートや手帳には、元から多くの項目が設けられている場合が多く。全てをいっぺんにまとめて書こうとするとかなり大変になりますので、取りかかりやすい項目から徐々に自分のペースで記入してみてると良いでしょう。エンディングノートについてはルールや決まりは存在しないので、内容は勿論の事、形式についても自由ですので、極端な話でいうと市販されている普通のノートに日記のように思い付いたことを書くという方法でも良いですし、パソコンやスマホを使って書いたり写真を添付して書くなど、ご自身に合った方法で様々なエンディングノートを作成することが可能です。

エンディングノートについて何から・どう書けば良いのか迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。いくつか代表的な項目や書いておくと後々役に立つ項目を具体的にお伝えしていきますので参考にして下さい。
まず一番初めに「自分自身についての個人情報」を記しておくと、残された方が行政への手続きがかなりスムースになりますし、誰が書いた物なのかが一目瞭然になります。名前・生年月日・血液型・本籍地やマイナンバー等・携帯電話やパソコンなどの契約しているもの等の情報に加えSNSを使用している場合などは退会手続きをしないと永久にネット上にアップされたままになってしまいますので、ログインIDとパスワードを記しておくと安心です。またこれらの様な決まった情報だけでなく、例えばご自身の「自分史」や好きな食べ物・趣味など内面的な部分を改めて書くことで新しい自分の発見につながるかもしれませんし、残された方にも幸せな人生だったことを知らせることが出来ますのでおすすめです。
またペットを飼っている場合には、普段からどんなものを食べているのか・かかりつけの動物病院はどこなのかなどを含めた「ペット情報」について、誰に引き取ってもらうかという事も含め書いておくと後々役に立つ事でしょう。
家族の方に負担をかけない為にも詳しく書いておきたいのが、「医療や介護」についての項目です。様々な理由で判断能力が低下したり自己判断ができなくなった場合の為に、延命治療や臓器提供などについての希望を書いておくと家族の方々の負担を減らす事が出来ます。アレルギーや持病、常用薬などについても書いておくとよいかもしれません。延命治療や臓器提供については家族にとってもデリケートな問題ですし、万が一の際には難しい判断が強いられる場面になりますのでエンディングノート書くだけでなく話し合いもしておく事が大切です。また、事務作業を第三者に委任する「死後事務委任契約」を結んでいる場合には、その旨も記入しておいてください。
自分が持っている資産についてもまとめて書いておきましょう。「預貯金」「保険」「年金」については契約者が死亡した際に届け出る必要があるので忘れずに記載するようにしてください。所持している「株式」がある場合はそちらも記載しておきましょう。この際に通帳や印鑑・保険の証書・年金証書などの「保管場所」についても明記しておく方が望ましいのですが書く事によってリスクも生じますので注意が必要となります。自分が大切にしていた品やコレクションについてもどのように分けるかを記しておくと遺族が揉める心配もありませんので希望の譲渡先を明記しておきましょう。借金など負の遺産がある場合は、恥ずかしいからと借金の存在を隠さずに必ず記載しておくようにしましょう。借金があると分かれば遺族の方も相続放棄の手続きをする事が可能になり遺族を苦しることはありません。
一昔前は、ご本人が葬儀やお墓について決めるのは一般的ではありませんでしたが、近年では様々な選択肢がありますので本人が希望を出す機会も増えてきています。葬儀の規模や参列してほしい方・遺影に使ってほしい写真や一緒に棺に納めて欲しい物などについて書いても良いでしょう。お墓をお持ちの方であれば、寺院や霊園の住所等も書いておくと良いでしょう。
先に葬儀に参列して欲しい方についての記載について触れましたが、それとは別に親族や親しい友人の連絡先を一覧にしてリストにしておくと残された方にとっても大いに便利です。訃報の連絡の有無や関係性なども記しておくとより親切です。
最後に注意点として、再三の確認にはなりますがエンディングノートは法的拘束力がある文書ではありません。ですから、相続などについての遺言をエンディングノートで書き残す事はできません。遺言を残したい場合にはエンディングノートとは別に、作成方法や記載内容について法律上のルールを守った遺言書を作成しておきましょう。そして、エンディングノートに遺言書を作成している旨を記しておくと良いでしょう。

エンディングノートを実際に書き終えた際や、書いている途中はどこに保管すれば良いのか困るのではないでしょうか。エンディングノートは、あまり人には見られたくないデリケートな内容であるのは間違いありませんし、事前に身内に見られてしまうことでトラブルにつながる可能性もあるだけでなく、重要な個人情報や暗証番号・パスワードなどを記載している場合には尚更のこと、簡単に見つかるような場所で保管してしまうと危険だと言えます。かといって絶対に見つからないような場所であると、必要なときにすぐに見つけられないという事になってしまい、せっかく記した自分の意思が反映されないという可能性もあります。それではせっかく書いたエンディングノートの意味がなくなってしまいますから、エンディングノートを書き終えた際には、信頼できる方にエンディングノートを書いたという旨をしっかりと伝えておきましょう。
相続財産についての細かい内容は、エンディングノートとは別に遺言書を作成し保管しておくとよいでしょう。

お葬式の豆知識
遺品整理について

遺品整理とは、故人の持ち物を整理または処分し、故人の暮らしていた家や部屋をきれいにすることを指します。遺品整理は遺族が行う場合と専門の業者などに依頼する場合もありますが、整理や処分をする為だけではなく遺族の気持ちを整理するためにも大切なことです。

遺品整理を行う時期については各家庭の事情によって様々となります。しかしながら賃貸住宅の場合であれば退去が遅くなればなるほど家賃が発生してしまいますから、可能な限り早い段階で遺品整理を行うことが得策と言えます。持ち家を前提として遺品整理を行う時期についてお伝えしていくと、まずひとつめのタイミングとしては「法要の時期」が挙げられます。四十九日や新盆・一周忌・三周忌などのタイミングを目安に遺品整理をする方が多くいらっしゃいます。遺族の方もそれぞれの事情がありますから頻繁に集まることは現実的ではありませんので遺族が一堂に会する法要の場で遺品整理を行うことが多いようです。遺族みんなの考えを聞き相談しながらの形見分けも可能になりますのでトラブル回避にもつながります。また、故人の身の回りの手続きが完了する「葬儀後の手続きに合わせたタイミング」で遺品整理を行うという方法もあります。葬儀の後はすぐに行政関係や銀行・保険等の手続きが多く発生し期限が決まっているものもあります。こういった優先すべき手続きが済んでから、落ち着いて遺品整理を始めるのも良いでしょう。持ち家である場合は賃貸住宅と違い急ぐ必要がないですから、遺族の気持ちが落ち着いたタイミングなど時間をかけて整理することも可能です。気持ちの切り替えができていない内に義務的に急いで片づけるよりも、各々の思い出を振り返りながら故人の遺志を尊重したり丁寧に遺品整理をする方法もあります。
遺品整理を行い方については大きくわけると二つの方法があります。ひとつは遺族が遺品整理をする、もうひとつは業者に遺品整理を依頼する方法です。まずは遺族で行う場合ですが、自分たちで整理を行えば故人が大切にしていた物や思い出などを振り返りながら分類していくことが可能です。費用も抑えられるというメリットもありますから、時間や体力に余裕がある場合は遺品整理を遺族で行うという方法が一番良いです。しかし、それぞれの事情で遺品整理の時間を取ることが難しかったり、遺品整理が進まないという場合もあります。近年ではリサイクル業者や買い取り業者に遺品を買い取ってもらうというケースも多く見受けられるようになりました。遺品整理サービスと一口に言っても遺品整理を専門で行っているサービスがあり、遺体が長い期間発見されなかった場合に部屋の汚れや異臭が残ったりという場合には遺品整理だけでなく部屋の原状復帰も必要になり特殊な清掃が必要になるのですが、遺品整理業者によっては部屋の現状復帰まで含め対応してくれる企業もあります。

遺品整理を行う際には明らかに価値がわかるもの以外をどのような基準で保管・処分・譲渡するべきか難しいものです。実際に遺品整理を行う際に確認しておきたい注意点についてお伝え致します。
遺品整理を行う前にまずは遺言書があるかどうかを確認する必要があります。きちんとした形式・手続きで書かれている遺言書は法的な効力を持ちますので最重要視されますし、法的効力がない形式であったとしても故人の意思を尊重するためにも遺品の整理に関しての記述があるかどうかの確認をする必要があります。また、何を処分して何を残すかを迷った場合には、悲しみの中では正しい判断ができないかもしれませんからひとまず残しておくという選択をすると良いでしょう。また、故人と親しくしていた方と今後連絡をとる必要があるかもしれませんので連絡先が分かるような物については保管しておく必要がありますから、手帳や手紙などはできるだけ残しておきましょう。手帳や手紙だけでなく携帯電話などの電子データについても、読み取れる内にパソコンへ移したり印刷やメモをしておくことをおすすめ致します。

遺品整理を行う中でトラブルがおきてしまう場合もあります。ここではよくお聞きする二つのケースをお伝え致します。
まずは遺品整理業者を利用した際のトラブルについてです。遺品整理業者を利用した際の代表的なトラブルは「遺品の誤処分」や「追加料金」等です。遺品の誤処分については伝え忘れや確認不足が主な原因であることが多く、そのようなトラブルを防ぐ為には遺品整理の場に立ち会い、しっかりと確認しながらすすめるようにしましょう。近年では買い取りも同時に行う業者が増えていて大変便利なサービスなのですが、相場よりも安い値段で買い取られる可能性もありますから評判を確認できる業者に依頼するという予防策をとることも大切です。追加料金のトラブルを未然に防ぐ為には事前に見積りを提出してもらう際に、追加料金の有無・その基準についてを詳しく聞き、納得のいくように説明を受けておきましょう。また、形見分けでの遺族や知人間のトラブルも起きやすいとされています。市場価値のあるものは全て遺産相続の範囲に入るという判例がありますから、厳密には誰が何を引き取るのかという事は勝手に決めていいという訳ではありません。トラブルを防ぐ為にも価値があるものは早期に把握しておくとよいでしょう。