通夜見舞いについて

お見舞いすることが叶わないまま亡くなってしまった方への対応については、地域ごとに違いはありますが「通夜見舞い」という習慣があります。主に関東地方(東部)・新潟県・九州地方の一部などの限られた地域で主流となっています。通夜見舞いの風習がない地域の方が多く、そのような地域で通夜見舞いをおこなうと遺族が混乱してしまう可能性がありますので注意が必要です。
通夜見舞いとは、入院中にお見舞いに行けない内に亡くなられた場合に通夜の席でお見舞いを渡す習慣のことをいい、お通夜の際に遺族に対する差し入れという意味合いを持つこともあります。どちらの意味合いかによって渡す物の内容が異なります。通夜の席でお見舞いを渡す場合には金銭を包むことが一般的で、香典とは別に通夜見舞いとして遺族の方に渡します。相場については千円~三千円程度が相場であるといわれています。相場の金額では少なく感じる人もいらっしゃるかと思いますが、香典との金額に差をつけることで遺族の方や親族の方が香典と通夜見舞いを混同せずに済みます。注意したいのは通夜見舞いと香典は全く別物であるということです。通夜見舞いを渡したから香典が必要ないというのは間違いですから、通夜見舞いを渡すのであれば香典も併せて渡すことになるという点を覚えておきましょう。通夜の際に遺族に対する差し入れという意味合いで通夜見舞いを渡す場合であれば、遺族は故人に夜通しで付き添うため気軽に口に入れられるものが適していると考えられている背景から、軽食やお菓子などが最適とされています。軽食の場合はサンドイッチやおにぎりなど、お菓子の場合は和菓子や焼き菓子など手軽に食べやすいものがよいでしょう。ここで注意が必要なのが食品は賞味期限があるので、遺族にできるだけ気を遣わせないようある程度日持ちするものを選びましょう。また、食品を持参する際にはお供え物と間違われてしまわないように、必ず通夜見舞いである旨を伝えるようにします。この場合の相場についてもあまりにも高額な品物を選んでしまうと遺族に余計な気を遣わせてしまいますから、千円~三千円程度のものが相場といわれています。また、通夜見舞いを渡す際には生前お見舞いに行けなかったことに対するお詫びとお悔やみの気持ちを遺族の方に伝えることが大切です。
通夜見舞いをするタイミングについては一般的にお通夜が始まる前です。お通夜の最中は遺族の方は忙しいので始まる前に済ませましょう。また、通夜見舞いをする人は基本的にはお通夜に出席することが前提となります。お葬式や告別式だけに出席する場合には、通夜見舞いを持っていく必要はありませんが、どうしても故人や遺族を見舞いたいときは代わりにお供え物などをお渡しすると良いでしょう。
通夜見舞いの服装については、喪服ではなく平服を選びます。できる限り黒や紺などの地味で暗い色を選び、男性の場合は黒やグレーなどのスーツに白いシャツ・ネクタイも暗い色のもの、女性の場合は暗色系のワンピースやアンサンブルなどがおすすめです。アクセサリーは極力控え全体的にシンプルな装いにして平服でも派手にならず落ち着いた雰囲気の服装を心がけましょう。また、お通夜では基本的に喪服を着用するので、通夜見舞いのときにお通夜用の服を忘れずに持参しておきましょう。お通夜の場で手伝いをする可能性があるならばエプロンも持参しておくと良いでしょう。葬儀にそのまま出席する場合は、香典や袱紗・数珠なども必要です。

通夜見舞いは、全国的な習慣ではないのでわからない事が多くあるかと思います。ここからは、通夜見舞いのマナーについて詳しくお伝え致します。まずは通夜見舞いとして品物を渡す場合ですが、遺族の方への差し入れとして軽食を持参する場合には熨斗は不要です。現金を包むときにだけ熨斗袋を利用するので表書きが必要になります。その際、通夜見舞いは遺族に対しての労いの気持ちという意味がある為、通夜見舞いの表書きには「通夜見舞い」または「御見舞い」と書きましょう。通夜や葬儀の際に持参する「御霊前」は故人にお供えするものという意味がありますので間違えないように注意が必要です。金銭を包む場合には、通常の不祝儀袋と同じく黒白の水引を使用し、水引の上の部分に通夜見舞い・御見舞いと書き、水引の下の部分には自分の名前をフルネームで書きます。不祝儀の表書きや外袋を書くときにはサインペンやボールペンではなく薄墨の筆で書きましょう。また、中袋に関しては自分の氏名・住所・包んだ金額を書きます。通常は中袋の表側中央に包んだ金額を記載し、裏側の右下に住所と名前を記載します。注意したいのは縦書きと横書きを混在させないことで、表側を縦書きにしたのであれば裏も縦書き、表側を横書きにしたのであれば裏も横書きにしましょう。数字の書き方は縦書きか横書きかで異なりますので、横書きの場合は通常のアラビア数字で問題ありませんが、縦書きの場合は旧字体を使用しましょう。通夜見舞いを現金で渡す場合のは中に入れるお札は新札でないものにし、通夜見舞いを渡す場合は必ず不祝儀袋を袱紗に包んで持ち歩くようにしましょう。

お葬式の豆知識
弔問について

弔問とはお悔やみを述べる行為として広い意味を持ちますので、お通夜や葬儀に参列した時にお悔やみの言葉を述べることも弔問したという事になります。遺族の方の家へ訪問し、お悔やみの言葉を述べることも弔問となります。
やむを得ない事情などで、お通夜やお葬式の日にどうしても都合がつかない場合には、別の日に改めて弔問をします。最も良いとされている弔問の時期は、お葬式を終えてから数日~四十九日までの間です。故人の近親者は通夜前に弔問しますので、故人の生前に非常に親しかった方や日常的に付き合いをしていた方などもこのタイミングで弔問しても良いとされていますが、お葬式前の弔問は遺族の方も多忙を極めている時期ですので避けた方が無難です。訃報を受けたら可能な限り早く弔問を、と思ってしまいがちなのですが、お葬式の直後も避けた方が良いでしょう。遺族の方は葬儀の後処理の作業が多く非常に忙しいので弔問する事でかえって負担になってしまう場合もあるからです。反対に落ち着いてからと気を遣い葬儀からの期間が大きく空いてしまうと改めて弔問客を招く準備を整えなければならなくなり手間をかけてしまう事になりかねませんので注意が必要です。いずれの場合も遺族の方側から弔問に来てほしいという旨を伝えられた場合には別になってきますし、弔問する際には必ず事前に遺族の方へ連絡をし許可をとりましょう。遺族の方にも事情や心情がありますので、仮に弔問を断られた場合には無理に出向くのはやめましょう。

お通夜よりも前に弔問する場合には、喪服を着ていくとまるで故人の不幸にあらかじめ備えていたと捉える方もいらっしゃいますので喪服は避け、黒や紺といった地味な色合いの華美ではない普段着が好ましいとされています。お葬式後の弔問では、黒あるいは黒っぽいスーツやセットアップなどの略礼装で行くことをおすすめします。式へ参列するという訳ではありませんので、喪服を着る必要はありませんが普段着ではラフすぎる印象をあたえかねませんので、スーツで行けば故人を忍んで弔問した気持ちが伝わることでしょう。
香典についても、故人の不幸にあらかじめ備えていたという意味になってしまいますので、通夜前の弔問に持参するのは失礼にあたります。お供え物や手土産も同様です。後日訪問する際には香典を持参するのが一般的です。お供え物や手土産に関しては、お返しすべきかと遺族が困ってしまうほど高価なものは避け、故人が生前に好んでいたお菓子や花・果物などを持参しても問題はありません。

弔問する際には、遺族の方の家へお邪魔する事になります。普段とは違う理由での訪問ですから、いくつか注意しなければいけない点があります。弔問する大前提として遺族の方へ必ず事前に連絡をしておくことが大切です。何日の何時ごろといったように具体的にいつ行くのかを決めておけば遺族の方への負担も軽くなります。また、亡くなった方が子供の場合には年齢の近い子供を連れて行かないといったような気遣いが必要です。
実際に弔問した際には玄関に入った際にまず簡単な挨拶をしますが、その後に自ら上がろうとするではなく、遺族に上がるように促されるまで待ちましょう。もしも上がるよう促されない場合にはその場でお悔やみの言葉を述べましょう。お悔やみの言葉を述べた後に注意が必要なのは簡単な思い出話や当たり障りのない話をする際に、故人の病名・死因などを尋ねるのは失礼に値しますし遺族の方がつらい思いをしてしまう場合もありますのでやめましょう。亡くなった方が子供の場合には当たり障りのない話でも子供の話題を出さないのも気遣いです。悲しみに暮れている遺族の方に元気を出して貰おうと、出産や結婚など明るい話題を出す事は悪い事ではないのですが、遺族の方の気持ちに寄り添い・思いやることに専念する方が遺族の方にとっても嬉しい事でしょう。
遺族の方から故人のもとへ案内されたら、まずは遺族へ一礼してから線香をあげます。その際には、必ずろうそくの火から線香に火を灯し、左手で線香をあおいで火を消して合掌します。この際に線香を立てるか立てないかは宗派によって異なりますので、その場で判断できない場合には遺族の方に聞くと良いです。故人との対面を促された場合には、故人の枕元から少し下がった位置へ正座し両手をついて一礼します。白布を外すのは遺族ですので自ら外さないようにし、遺族が白布をはずしたら膝の前に手をつき故人の顔をそっと目視し、一礼して合掌した後に少し下がり遺族へと一礼します。
そして、弔問をする際に最も気を付けたい事は、遺族の方の負担にならないように長居をしないという点です。遺族の方とは初めて対面する他人である場合や顔見知り程度の場合が多くありますので、遺族とは簡潔にお話ししたらきりの良い所で引き上げるのが良いでしょう。