検視と流れ
検視は故人が死亡した場所で警察関係者が行います。殺害された可能性がある場合を除き、病院で死亡した場合は対象外です。検視は病死や自殺・他殺といった死亡した経緯に関係なく実施され、死亡した背景に事件性があるかどうかの確認を行う目的があります。自殺や病死以外の可能性が全く考えられない場合には短時間で済みますが、他殺など事件性が少しでもあると考えられる場合には死亡した真相に迫る必要がある為、半日~最大二ヶ月と長期間となるのが一般的です。
「けんし」と読む言葉に、検死があり混同されがちなのですが、それぞれ共通して「検」という漢字が使用されていますが意味合いや関わる人が違います。
「検視」は法律用語として正式なものではなく「検視・検案・解剖」の三つをまとめて呼んだもので、遺体と周辺状況を調査し事件性の有無を明らかにします。警察官・検視官が関わりますが変死体の場合は医師の立ち合いが必要となります。検視の後に検死という順序が一般的で「検死」は医師が関わり死因や死亡状況を医学の観点から判断します。
ただし厳密な線引きがしてあるという訳ではない為、使用する文脈により語句を選ぶ必要があります。自宅で死亡した場合であっても基本的には検視を避けては通れませんが、死因が病死であったり自然死であった場合は別で基本的には検視をすることはありません。その他の自殺・孤独死・災害が原因で死亡した場合や事故死であれば検視が必要となり、警察官や検視官は様々な死に対して検視をする必要があり事件性がある場合の死のみを検視対象とする訳ではありません。変死体の検視をする場合は検視規則の第五条により医師が立ち会わなければいけないという規則があります。解剖については死因が分からない場合や事件性が疑われる際に行われます。それぞれの解剖には名前があり特徴が異なります。
〇解剖の種類・特徴
●行政解剖
死因が分からない場合に行い、遺族から許可が出れば解剖が可能になります。
●司法解剖
事件性が疑われる場合に行い、裁判所から許可が出れば解剖できる為遺族から許可が出なくても解剖が可能になります。
※この他、正常解剖という人体の構造を学ぶ目的で行う解剖もあります。
搬送手順について
大切な方の死を目の前に冷静に搬送の準備を進めるのは難しいことではありますが、スムーズにお別れするためにも必要最低限のことは済ませておく必要があります。
自宅で療養中の病気や持病が原因で亡くなった場合にはすぐに医師に連絡する必要があります。医師が傍に居た状態で亡くなった場合には死亡診断書の発行を依頼します。連絡する医師に細かい決まりはありませんので故人が治療していた分野以外を専門とする医師に連絡しても死亡診断書は書いてもらえます。
またこの際に、遺族は故人の遺体に触らないようにしましょう。動揺して遺体を動かしてしまったり触ってしまう気持ちも分かりますが、少なくとも医師が死亡診断書を書き終わるまでは動かさないようにする必要があります。書類を書き終えたことが確認できたら遺体を動かしても問題はありません。
療養中ではなく、自宅で急死した場合はまずは警察に連絡しましょう。医師の立ち合いの元で死体検案書を作成します。その間も遺族は遺体を動かしてはいけません。検視・検死で死因の原因が分からない場合には、司法解剖することになるかもしれません。その場合は遺族の元に遺体が戻ってくるまでに期間を要しますから、遺族はその間に依頼する葬儀会社を決めたり、葬儀を執り行う場所を決めたりするなどして葬儀の準備を始めておくとよいでしょう。病院など自宅ではない場所で亡くなった場合には自宅や遺体を安置できる場所に搬送することになります。病院から自宅への搬送は、多くの方が葬儀会社へ依頼するのが一般的です。依頼する葬儀会社が決まれば迷うことなく手配を依頼できるのでスムーズです。