終活を始める時期
具体的に何歳ごろから終活を始めたらよいのかと考えた際に思い浮かぶ年齢は人それぞれです。しかし、おひとりさまこそ早めに終活の準備をすることをおすすめ致します。具体的には四十代の気力や体力が十分にある年代です。
四十代というと早すぎると感じる方が多くいらっしゃるかと思いますが、自身が四十代になった頃のご両親はどうでしょうか。多くの方の場合はちょうど老齢に差し掛かる頃ではないでしょうか。もしかしたらご両親も自分の最期のことを考え、終活を始めている場合もあるかもしれません。実際、両親が終活を始めるタイミングにあわせ自分も一緒に終活を始める方が少なくはないのです。両親が亡くなることで兄弟姉妹がいない方は突然身寄りがいなくなってしまう場合があります。突然の孤独に見舞われた場合でも早めに終活を始めていたという事実は大きな意味をもつでしょう。
更に、四十代になると身体の衰えを感じたり病気にかかるリスクが人によっては増えてきます。最悪の場合には突然の病気などで、急に入院しなければならなくなることも考えられます。急に体力が落ちたり、病気になりやすかったりといった経験がある方も多い上、突然死のリスクも増加します。特に男性の突然死は四十代を過ぎると増える傾向にあるようです。いつ何があるかわからないという事は、年齢や病気のリスクに関わらず誰にでも当てはまる事です。大切なのはその事を頭の片隅に入れ、早めに終活を始めるといったような具体的に今からでも出来ることを少しづつでも始めておくことでしょう。
おひとりさまの場合、どうせ一人だから終活なんてしなくても良いものとして捉えがちなのですが、様々なリスクがあります。その様な点を踏まえ、おひとりさまでの終活の必要性についてお伝えしていきます。
まず最初に孤独死となる可能性が高くなる傾向にあるという点と終活についてです。孤独死とは、一人暮らしの方が居住していた住居などで誰にもみとられることなく最期の時を迎えてしまう事を指します。死に至る原因は人それぞれですが、孤独死を迎えるという事は助けを求めることが出来ずに亡くなってしまうという事です。近年ではご近所付き合いも減ってきている傾向にありますし死後気づかれるまでに時間が掛かる場合もあります。また、孤独死の場合には遺品整理も問題となってしまいます。大切な財産や書類などの重要なものがあったとしても事前に何もしていないと誰かに伝える事が出来ず、最悪の場合は処分されてしまう場合があります。また家族の方に譲る物が分かっていても整理が付いてない場合には探し出すことは一苦労です。現実的に孤独死をする方の多くは一人暮らしの高齢者の方です。この様な孤独死による様々なトラブルを避けるためにも、おひとりさまの方にも終活が必要だといえます。
また、孤独死だけのリスクだけでなく、病気や要介護状態などで動けない状態になったとしても、誰にも面倒を見てもらえず困ってしまうというリスクもあります。元気に体が動く内は、おひとりさまでも生活に支障はないですが、病気や怪我で動けなくなった場合にはおひとりさまでは誰かに頼る事すら困難な場合もあります。いざという時に頼れる家族がいたとしても、遠方にいるなどの場合には身の回りの世話をして貰うことは難しいときがあります。今現在は元気で生活になにも問題がなく充実した生活を送っていたとしても、いつ病気や怪我で動けなくなるかは高齢者の方に限らず分からないことです。例えば認知症になった際には、自分の意志を上手く伝えられなくなる場合もあるでしょう。元気な内にこそ、老後の医療・自分の葬儀の事などを含め終活をしておくことをおすすめ致します。
終活の内容
おひとりさまの終活でやることは数多くあります。多くは通常の終活と変わりないですが、おひとりさまならではの大切な事柄もありますのでそちらも併せてご紹介致します。終活を始める上で大切なことはこれまでの人生を振り返ることです。自分のこれまでを振り返ることによって、やり残したことやこれから何をすれば良いのかもわかりやすくなります。ですから人生を振り返ることが、終活の第一歩と言えるのでしょう。
おひとりさまの場合は葬儀の内容を生前に決めておくことをおすすめ致します。自分の葬儀のことを任せられる方がいらっしゃれば良いのですが、そういった方がいらっしゃらない場合などには残された方が困惑してしまう可能性がありますので自分の葬儀のことは自分で決め、生前に契約しておくと安心でしょう。またその際に、自分が入るお墓があるかどうかを確認しておく事も重要です。先祖代々のお墓があるか大丈夫と思っていた場合でも、実は永代使用権者の家族ではない等といった理由などで入ることができなかったという事もありますので注意が必要です。自分の入る予定のお墓の確認を怠らず、もしもお墓をお持ちでない方であれば生前に契約をしておけば心配する必要がなくなるでしょう。
財産の整理は特に重要な事柄になってきます。預金や証券などの財産がある場合には誰に引き継ぐのか・どのように活用をするか等をしっかり決めておく必要があります。仮に身寄りのないおひとりさまが遺言なしで亡くなってしまった場合には、財産はすべて国庫に入ることになります。ですから、家族だけでなく身の回りの世話をしてくれた人に譲りたいものがある場合などは必ず遺言書を作成し自分の意志を残しておきましょう。
近年、自分の意志や周りの方への感謝の気持ちを伝える為にエンディングノートを書く方が増えています。エンディングノートは、自分の人生の記録や最期の希望を書き記すものです。葬儀のことや死後のことについての希望を書くことで周りの方にあなたの意志を伝えられます。譲りたい遺品や大切な書類のことなども伝えられるので周りの方が遺品整理をする際の目安になります。しかし、エンディングノートには法的拘束力はありませんので、相続させる財産がある場合は、遺言書を作成することが重要です。相続に関する希望を遺言という形で残しておくと遺産をめぐる争いを事前に防ぐことが出来ますので、財産を誰にどれだけ相続したいのかが決まったら遺言を明確に示しておきましょう。
最後におひとりさまにおすすめしたい制度が「任意後見人制度」です。任意後見人制度は判断能力が低下してしまった際の為に備え締結できる制度です。締結をする場合には、判断能力がある内に行う必要がありますので、事前に信頼出来る方に相談をし後見人になって貰いましょう。任意後見人制度によって選んだ後見人は、判断能力が低下した場合や死後に財産管理や介護・医療などに関わる事務手続きを代行します。法廷後見人制度と違う部分は自分が信頼のおける人物を後見人に指定できる点になります。