日本では1970年代中頃から病院で亡くなる方の数が大幅に増加し自宅で亡くなる方の数を大きく上回りました。近年では自宅以外で亡くなる方は85%、中でも病院で亡くなる方は73.9%と約7割以上の方が病院で亡くなるといわれています。病院で亡くなった場合に病院から葬儀社を紹介されるケースがありますが、その際に注意が必要な場合があります。
今回の記事では、病院から葬儀社を紹介された場合について詳しくお伝え致します。
葬儀社を紹介されるケース
病院で亡くなった場合、遺体は病院から安置先まで搬送する必要があります。この際あまり時間的な余裕がないという場合が一般的です。その理由としてはそれぞれの病院によっても事情は異なりますので一概には言えませんが、病院に入院して治療を受けたくてもベッドが空いてない為に入院ができないという方もいらっしゃいます。
そういった方を受け入れる為には亡くなった方を病室から移さなければならなりません。この際に病室から移した故人を安置させる場所が充分に確保できていないと、すぐに病院から出て行ってほしいといわれてしまうことになります。この時を葬儀という視点から見ると、病院で亡くなった際に一番困るのは短時間の間に病院を出なければならないということです。この時点で依頼する葬儀社が決まっていれば、その葬儀社へと連絡を入れれば迎えに来てくれますが、問題なのは病院で亡くなった時に葬儀社が決まっていない場合です。
葬儀社が紹介されるケースとして、葬儀社が病院に入っているケース・病院が葬儀社を紹介するケースなどがあります。いくつかのパターンがありますが、ひとつは葬儀社のスタッフが直接遺族に葬儀の説明をするというものです。このような場合には病院の一室に病院と提携している葬儀社のスタッフが待機しています。患者が亡くなると、この葬儀社のスタッフが病室から霊安室までの移動や死後の簡単な処置を行ってくれるのが一般的です。この時「葬儀社がまだ決まっていないのであればお手伝いします」というように、搬送や安置葬儀の説明をされるのが一般的です。病院に入っている葬儀社は必ずしも一社とは限りません。複数の葬儀社が病院と提携し順番に待機しているということもあります。一方、葬儀社のスタッフが直接説明するのではなく、病院のスタッフが葬儀社を教えてくれることもあります。この場合は、近隣の葬儀社であったり、また一覧のリストを渡され遺族がリストの中から葬儀社を選び直接連絡するということもあります。
紹介された葬儀社を選ぶ際の注意点
事前にご自身や家族の方が満足頂けるサービスを提供してくれる葬儀社を選べていることが一番良い選択肢ですが、人の死というものは唐突にやってくるものですから、病院から紹介された葬儀社を選ぶというのもひとつの方法です。ですが、その際には注意点がいくつか考えられます。ここからは紹介された葬儀社を選ぶ際の注意点についてご紹介いたします。
まずひとつめの注意点としては、葬儀費用が高くなる可能性があるという点です。病院と葬儀社の契約にもよりますが病院に入る為に費用がかかる場合もあります。このような場合には、葬儀社としては病院への営業にすでに大きな費用をかけている為、葬儀の仕事でこの分の費用を回収しなければなりません。その為、病院に入っている葬儀社は葬儀費用が高いといわれていました。また、病院から紹介された葬儀社に決めてしまった場合、他の葬儀社と比較できないという注意点もあります。大切な方が亡くなって気が動転している間に、きちんと判断せずに申し込んでしまったという場合に、改めて葬儀の内容について故人の希望した葬儀ができないということがあり葬儀に不満が残ってしまったというケースもあるようです。
紹介された葬儀社を断る方法
せっかく紹介して貰ったのに断るのは気が引けると考える方もいらっしゃるかと思いますが、病院から紹介された葬儀社を断ることに何ら問題はありません。すでにここに頼むという様に既に決めている葬儀社があるのでしたら、勿論その旨を伝えれば良いですし、また他社も比較して決めたいという場合もその旨を伝えると良いでしょう。いち早く病院から出なくてはならない場合には搬送のみ依頼することも可能です。しかし搬送のみをお願いする際に注意しなければいけないのが安置場所です。自宅に故人を安置することができず、ほかに安置先が決まっていない場合であれば通常は搬送を依頼した葬儀社の施設に故人を安置します。この際、葬儀社によっては搬送費だけでなく安置施設の使用料など安置に必要な費用もかかります。そのままその葬儀社に葬儀も依頼する場合はある程度割引などが適用される場合もありますが、葬儀は他社に依頼するという場合には正規の安置料が請求されるのが一般的です。再度、他社へ搬送する費用もかかることを考えると、全体で見て割高になってしまうことは多々あります。